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スキーヤーがクレバスに転落して負傷した事故がスキー場の管理者の過失によるものとはいえないとされた事例

 

一審

昭和56.4.30 前橋地裁沼田支部 判決  控訴

昭和51年(ワ)第15号、昭和52年(ワ)第18号 損害賠償請求事件

 

控訴審

昭和60.1.31 東京高裁 判決  上告

昭和56年(ネ)第1210号、1438号 損害賠償請求事件

 

上告審

平成2.11.8 最高裁第一小法廷 判決  一部破棄自判

昭和60年(オ)第617号 損害賠償請求事件

 

スキー指導員資格を持つベテランスキーヤーが、昭和49年及び昭和50年に、いずれもシーズン末期のスキー場において滑降中クレパスに転落して負傷した事故について、事業者の管理に過失があったとして損害賠償を請求したもの。

 

前橋地裁と東京高裁の判決では、事業者の管理に過失があるとして一部請求を認めたが、最高裁は、第一事故について、このスキーヤーがスキー場閉鎖の掲示を見過ごし、クレパスに転落するおそれがあることは当然予知しうるのに事故を起こし、また、第二事故について25度の急斜面で死角になっている前方を確認しないまま飛び出して事故を起こしたとして、スキーヤーの請求をすべて退ける逆転判決を言い渡した。

 

第一事故は、積雪が減少したために事業者がスキー場の閉鎖を決定した日から10日以上を経た、スキー場の一部に芝生が見え、ハイカーが来ているような暖かい日に、指導員の資格をもつベテランスキーヤーが、スキー場の閉鎖を掲示してあるロープウェー待合室の掲示板を見過ごした上、リフトを降りてから第一事故現場付近に至るまでのより安全な地形の場所にあるコースのすべてに閉鎖の表示がされているのを知りながら、事業者が年間を通じてほとんど滑降を禁止しているような急傾斜地において、前方にクレバスが見えているにもかかわらずその付近に向かつて滑降し、右クレバスに転落したというのであるところ、シーズン末期のスキー場閉鎖の前後においては、積雪量の減少による危険物の露出、気象の変動に伴う刻々の雪質の変化及びこれによる積雪の崩落などが予想され、このような時期にクレバス付近をスキーで滑降すれば積雪が崩落してクレバスに転落する恐れがあることは、クレバス付近にコース閉鎖等の表示がなくても、スキーヤーにおいて当然に予知し得るところであるというべきであるから、第一事故は、スキー場閉鎖の掲示を見過ごした上、前示のような時期、場所において前方にクレバスがあるのが見えているのに、あえてクレバス付近を滑降した被上告人自身の過失に起因して発生したものというべきであって、事業者の本件スキー場の管理の過失によるものということはできない。

 

第二事故について、第二事故現場付近の管理に原判示の過失があったということはできず、他方、被上告人は、危険が予知されるシーズン末期に、前年同時期に第一事故を惹起して本件スキー場のこの時期の危険性を熟知しているはずであるにもかかわらず、第二事故現場上方でいったん停止して前方を確認した際、前方が約二五度の急傾斜地で、しかも死角になって安全を確認できない場所があるのに、安全を確認しないままその場所に向かって飛び出したというのであるから、第二事故は、被上告人自身の過失によるものというべきであり、本件スキー場の管理に被上告人主張の過失があったということもできない。

 

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参考:判例時報1375号/日本スキー教程・安全編