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滑走中のスキーヤー同士の衝突死亡事故につき、スキー場の経営者に事故防止のための注意義務の懈怠が認められなかった事例

 

昭和60.12.18 横浜地裁 請求棄却

昭和59年(ワ)第987号 損害賠償請求事件

 

ゲレンデを滑走していた高2の男子が、連絡コースからゲレンデに出ようとしていた青年に衝突し、高校生が脳挫傷等の傷害で即死した。高校生の両親から事業者に対して、標識の不備等を理由に損害賠償の請求をした。

 

「スキーは、雪で覆われた山野をツアーしたり(いわゆる山スキー)、あるいは、山岳地帯の地勢を利用して滑走し、そのスピードとスリルを楽しんだりするスポーツであるが、山岳地帯を滑走する場合には、その地勢は複雑で嶮岨(けんそ)なところが多く、また、樹木、ブッシュ、ギャップなどの傷害物等も無数に存在し、危険性も高いからスキーヤーが安全にスキーを楽しむためには、地勢等についての十分な知識とスキーをコントロールする回転技術を習得し、その技術に応じた滑り方をすることが必要であることは言うまでもない。

 

 ところで、山岳地帯の自然の地勢を利用し、山肌の樹木の一部を伐採して作られたスキー場においてスキーを楽しみ、またスキーのテクニックを練習するいわゆるゲレンデスキーにおいては、近時、リフトが架設されることによって、スキーヤーは、労することなくしてゲレンデの頂上まで上り、しかも樹木が少ないだけ安全にスキーを楽しむことができるようになっているが、その他のコース環境は地勢の侭であり、ブッシュ、ギャップなどの傷害物等も数多く存在し、危険性も高いことは公知の事実である。

 そのうえ、ゲレンデにおいては、他のスキーヤーもたくさん滑っているのであるから、スキーヤーは、自らの安全のみではなく、他のスキーヤーの安全にも十分注意しながら滑ることが肝要であることも自明である。

 したがって、スキーヤーがゲレンデにおいてスキーを楽しみ、これを練習するにあたっては、ゲレンデの地形や障害物等の状況を十分に確かめたうえ、少なくとも、自己の技術に応じた滑り方をすることが必要であって、初心者の場合などは、時にはリフトで、またはスキーを担いで下りてくることも必要であり、このようなことはスキーヤーの最小限のマナーであると言うべきである。

 

 他方、スキー場の経営者としても、ゲレンデ内の状況を十分に把握し、スキーヤーの危険防止のための措置を講ずべき信義則上または、条理上の義務があるものと言うべきであるが、この場合でも、ゲレンデスキーが自然の地勢を利用した冬山におけるスポーツであることに鑑み、特段の事情がない限り、ゲレンデの地勢まで改良するなどの必要はないが、少なくとも、スキーヤーが容易に危険個所などを認識し、これを避けることができるように標識などを設置すべき義務のあることは明らかである」としたが、判決は、スキー場経営者の事故防止のための注意義務の懈怠は認めなかった。

 

参考:判例時報1209号/日本スキー教程・安全編